推し、燃ゆ
芥川賞受賞、どこの本屋に行っても目立つ場所に陳列されている本作。
当方はちゃめちゃにミーハーなので、勿論手に取ったわけでございます。
非常に読みやすく、2時間くらいで読み終わりました。
途中で休憩をするのが勿体ないタイプの作品だと思います。
特にあらすじとか載せません、とにかく読んだ人に向けて感想を投げます。
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この小説のポイントは、オタク話というよりかは特定の障碍であろうと推測される主人公の生々しさだと思います。
作者はあえて具体的な名称を書いていませんが、もう自覚症状有のグレーゾーンの身からすると描写があるある過ぎてガッツリ書いているようなもの。
まあいわゆる、ADHDとLD。それらに伴って躁鬱持ちっぽくもありますよね。
で、この作品を手に取りがちな層にオタク多いと思うんですわ。私もまあ陰キャオタクですわ。
何が起こるかって共感性高過ぎて読んでてしんどい。
これは全てのオタクがそうとは当然言い切れませんが、なんやかんやで主人公みたいな「自分の好きなコンテンツに関してめっちゃ執着してて有能だけど実生活や仕事だとポンコッツ」タイプなオタクって結構いると思うんです。普通の人間、そこまで一つのコンテンツにへばりつかんのですよ。
オタクで傾向ある人は結構主人公みたいなタイプいるんじゃないかと。というか私自身がめっちゃ分かったんでクソデカ主語で書かせていただいてますが。
そんなグレーゾーンだったり診断出てたりするオタクほどこの作品は刺さるし、ラストの「二足歩行は向いてなかったみたいだし、」で分かり過ぎてわかり手になると思います。
バイトの下りは本当に読んでてフラッシュバック起こすレベルで共感してしまいました。落ち着くってなんだろうねあかりちゃん、私もわかんないや未だに。そろそろ28になるけど。
読んでて思ったのは、注意欠陥に寄ってるADHDまたはグレーゾーンには、常に臨機応変さと正確さを持ってないと成り立たない接客業はマジで向いてないよねっていうことでした。
部屋がありえんくらい散らかってる描写なんかも、もうこの作品ADHD文学と言っていいんじゃないかと。ゴミとペットボトル放置しちゃうよね、分かるよあかりちゃん。
一方で推し事に対する姿勢や友人との会話なんかも「これ日本のどっかで起こってそう」が詰まっていました。会話文の雰囲気はまさに若い作家の表現力だなと。
多分おじさんおばさん作者でこの題材書かせたらもっと詩的な表現が多かったり、登場人物の言葉遣いもちょっとフィクションチックになっていたと思うんです。この作品はどこを切り取っても生だらけ。言動も感情も加工されてる箇所見つけるの大変なくらい。
推してる存在がジャニーズみたいなゴリゴリのアイドルってわけでもないのもべっちょり感を出してますよね。男女混合グループてもうモロあのグループモチーフでは…?
「このグループ結構紅白出るけど、強いファンに支えられてるんじゃろうな」っていう、めっちゃいそうな感じ。
主人公にとっての不幸な要素は、勿論推しが炎上した後グループ自体がぐちゃぐちゃになったこともあるけど、一番は生きづらさに対して周囲から理解を得られていないところだと思います。頑張ってるのにね、もっと頑張った方がいいって言われちゃうよね割と深刻に。
私まだASD文学と言われている『コンビニ人間』を読めていないのですが、最近の流行りとして何らかの生きづらさを抱えている主人公の生っぽい物語っていう路線あるんですかね。結構ダイレクトに共感を得やすい印象があります。
じゃあ次は「繊細さん」とも呼ばれるHSP文学?がきたりして。既にそういう人たち向けの指南書みたいなのは出てますよね。
宇佐美りん氏の『かか』も気になるから、読みたいリストに入れておきましょう。
本を読む生活を目指して
このブログは、今まで少量ながら読んできた本とこれから読む本、読みたいと思った本について記録を残す目的で作成します。
小説、新書、哲学、宗教、漫画、絵本、雑誌…とにかく色々読んでみる生活をしたい。
小説と漫画は読みがちなので、それ以外について面白いものがあれば誰からでもお勧めされたいくらいです。
逆に私は大好きな小説や漫画を死ぬほど紹介したい。
本を読み次第、または気になる本を見つけ次第の更新なので毎日更新とかではないです。
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